産後の骨盤臓器脱

重力に抗する力を失った状態

骨盤臓器脱は骨盤内の膀胱、直腸、子宮、膣、小腸が会陰に下垂する状態をいいます。

 

高齢者で特に多くみられます。

 

骨盤内や骨盤腔は多くの靭帯や筋膜により、内臓を適正な位置に保っています。

 

この適正な位置を保てなくなるのは、臓器を支えている靭帯や筋膜が引き伸ばされてしまうからです。

 

骨盤臓器脱の原因

① 加齢:自然に緩んでしまう。

② 出産:妊娠・分娩時に骨盤底を引き伸ばしてしまう。

③ 腹圧:習慣的に腹部の圧力を上げることにより、骨盤底に圧がかかり、骨盤底を支える組織が引き伸ばされる。

 

③では腹圧を極度に高めるような動き、たとえば重量物を持つ、便秘による頻回ないきみ、慢性的な咳やくしゃみ、肥満や猫背も継続的な圧力となります。そうすると、肛門挙筋の間や膣内から骨盤内臓器が下垂して出てくるのです。

 

直接的ダメージを与える妊娠・分娩

骨盤底に大打撃を与えるのは、やはり出産です。

 

ライフイベントの中で、ここまで一撃で骨盤底に打撃を与えることは他にありません。ですので、出産後のママさんは骨盤底にかなり影響を受けています。

 

この影響により、尿もれ・尿禁制も生じます。

 

間接的なダメージの姿勢やチェストグリップ

継続的な骨盤底への圧力もまた打撃を与えます。

 

その中で、産後で多いのが呼吸です。腹筋の使い方が妊娠中におかしくなって、おかしなパターンが残ってしまうと、呼吸のたび、動くたびに骨盤底への不正な圧力がかかります。胸郭の下部が開かないチェストグリップもまた、下方に圧力を生じます。

 

これを何年も、何十年も続けていると、骨盤底の支持機構にダメージを与えるのです。

 

骨盤内臓器脱の症状

症状は重力をかけない、骨盤底への圧力をかけない姿勢なら無症状です。

 

ところが、日中起きていると症状が出てきます。夕方や夜には朝よりも悪くなります。

 

「椅子に座っていると、坐骨間に何かが落ちてくる感覚がある」

「夕方になると膣辺りに異物感があって気持ち悪い」

「トイレで拭こうとしたら球のようなものに触れているのを感じる」

 

重症なものですと、手術適応になりますが、産後ママの年齢ではまだ弾力や可塑性がありますので、骨盤底筋トレーニングを注意深く行って改善させていきます。

 

ご自身で勝手に行うと、腹圧が上がって悪化させることがありますので、専門知識のある専門家にご相談ください。