産後の腱鞘炎

このままでは育児や家事ができなくなる!

育児は大変なものです。今まで3kgの荷物を持ち上げたり下ろしたり、ずっとその荷物を持っていたりしたことがありますか? ほとんどの産後ママさんにはそんな経験はありません。

 

ですから、ただでさえ出産で疲れてエネルギー不足になっている身体なのに、さらに育児で重労働を強いられるです。中には家事をすべてこなさなくてはならない産後ママさんもいます。

 

そんな重労働の中で、指の関節、手首や肘に痛みが出てくることがあります。毎日痛い、そしてどんどんひどくなる痛みで「このまま悪化したら、抱っこできなくなる」と不安になるママさんも多くいらっしゃいます。

 

これは腱鞘炎です。使い過ぎ症候群です。しかし、よくよく産後ママさんを観察していると、防げたケースがほとんどなのです。痛みが出ていても、ちょっとしたコツで良くなるのに、医療機関に相談しても「湿布やサポーター」を処方されて、毎日痛みに耐えながら育児をしているのが現状です。

 

当院に来られた腱鞘炎になった産後ママさんを見て、とても残念に思います。

 

「もっと早く当院に相談してくれれば、こんなに苦しむことはなかったのに」と。

 

まず痛めるのは抱っこで使う筋肉

赤ちゃんの抱っこは大変な労働です。それを女性の細い腕でやるのですから、故障しても不思議ではありません。

 

まず痛くなるのが筋肉です。泣く我が子をあやしていると痛いのも分からなくなります。なかなかミルクを飲んでくれなかったり、抱っこに疲れて寝かそうとしたら泣いたり、抱っこしながら椅子に座っただけでもぐずる子もいます。

 

 

こんな毎日です。ずっと力を入れている筋肉が痛くなるのも当然です。翌日に筋肉痛です。しかし、抱っこは毎日です。この筋肉痛が慢性化します。

 

筋肉が硬くなった次に起こるのが腱鞘炎

毎日の抱っこで手や腕の筋肉がカチカチにかたまります。この段階では自覚していないママさんが多いのです。

 

そのままケアしないで放置すると次に負担となるが関節です。筋肉は先っぽになると腱という細い白い硬い線維になります。この白い線維は腱鞘というトンネルを通過します。ズボンにベルトを通すところがありますね。あれが腱鞘のようなものです。

 

筋肉が硬くなると腱鞘に負担がかかります。腱と腱鞘がスムーズに滑っていると腱鞘炎は起こりませんが、筋肉が硬くなり、短くなって腱鞘に余分な負荷がかかり始めると炎症の温床ができあがります。

 

そして、その負担を毎日の育児でかけていくと、、、腱鞘炎ができあがります。

 

痛いのに休めない、、、それが育児

腱鞘炎も普通は治るのです。

 

ただ、育児は毎日。ご主人さんは仕事に行って、家で赤ちゃんを抱っこできるのは自分だけ。

 

そんな状況なので、腱鞘炎はなかなか治りません。悪化すると赤ちゃんの抱っこどころか、水を入れたコップすら持てなくなります。

 

 

一般的には腱鞘炎は治りにくいとされています。なぜか? それは炎症が起こっている場所を休めることができず、毎日手を使うので、炎症のところにさらに炎症が起こるような刺激が加わるからです。

 

いつまで昔の治療法をしていますか?

かつて腱鞘炎の治療といえば、

 

  •  装具・サポーター・テーピング
  •  電気治療器(微弱電流、ハイボルテージ)
  •  鍼
  •  前腕や肩のマッサージやストレッチ
  •  湿布や塗り薬

 

これらを駆使していました。が、治りが悪かったです。これらはひと昔前のやり方です。まだこんなやり方をしているのですか?

 

治し方はいたってシンプル

治し方は抱っこのやり方を工夫することです。痛みのある場所(指、手首、肘)に負担のかからない抱っこをすればいいだけです。

 

また、使う筋肉を変えれば、炎症が治まりやすくなります。ここは当院独自のやり方になります。普通は硬くなった筋肉をほぐします。これはひと昔前の治療です。よく電気を当てたり、マッサージしたり、鍼を打ったりします。治療したときは楽になりますが、帰って育児をすればまた戻ります。これでは一進一退を繰り返します。

 

本当に治したければ、ちゃんとした筋肉の使い方を体に覚えさせることなのです。

 

また、どうしても炎症が続くようであれば、ステロイド注射があります。もちろん、注射は根本解決ではありません。炎症を止めるもので、炎症を引き起こす原因を取り除くものではありません。ここでいう炎症を引き起こす原因とは育児ではありませんよ。育児をするときの筋肉の使い方です。

 

正しい使い方をすれば、また痛みのない育児に戻ることができるのです。

 

 

いずれにせよ、腱鞘炎にならないようにするのが一番簡単ですから、少しでも異変を感じたら、一度専門家にご相談ください。