産後の腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは
椎間板とは、背骨のブロックの間にあるクッションのようなもので、線維軟骨でできています。
腰椎とは背骨の腰の部分のことで、ここにある椎間板を腰椎椎間板と言います。
ヘルニアとは「突出」を意味し、脳ヘルニア、腸ヘルニア、臍ヘルニア、椎間板ヘルニアなどがあります。
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎の間の椎間板がつぶれて凸状態になったものを言います。これが問題になるのは、凸になっている突出部が、脊髄神経を圧迫してして、痛み、しびれ、麻痺などを引き起こすからです。
運動神経が麻痺すると、足が動かしにくい、または動かないという状態になります。感覚神経だと触られると鈍くなったり、触られているのが分からなくなります。
また、自律神経が麻痺する「馬尾症候群」というものがあります。便意や尿意をもよおさない、また排尿反射や排便反射が起こらないといった命にかかわる重篤な障害につながるケースもあります。
産後の腰椎椎間板ヘルニア
妊娠中から姿勢が変化し、その変化が腰椎椎間板の変形をもたらすことがあります。椎間に不正な荷重がかかった場合、椎間板が突出することがあります。
一般的に反り腰になるのが妊娠~出産後です。腰椎はもともと軽く前弯しているのが理想なのですが、その反りがきつくなります。
普通なら、椎間板は反りが強くなったくらいでは出てきませんが、まれに反った時に椎間板が出てしまうケースがあります。
さらに、腰椎がもともと理想とは反対の後弯している方もいます。その方が妊娠中に姿勢が変化して、普通は前に弯曲をするのに、逆に後弯がひどくなる方がいらっしゃいます。
すると椎間板が突出してしまうことがあるのです。これは急激な姿勢の変化による椎間板への負荷が急増したためです。
腰椎椎間板は、腰が前に反っていても、後ろに反っていても突出するリスクはあります。妊娠でヘルニアになるのは、短期間で姿勢が大きく変わり、その結果椎間板の強度が追いつかないことにあります。
ヘルニアは診断と処置が大切
ヘルニアは日常生活に支障をきたすものが多く、手術になるケースも少なくありません。
ですので、病院でMRI検査を行い、まずは状態を完全に把握することが必要です。あとは、症状と合わせて経過を見るのか、手術をするのかを決定します。
手術によって治癒するケース、悪化するケース、後遺症が残るケースなど、さまざまありますので、信頼のおける医療機関を受診してください。馬尾症候群でない限り、安易に軽く手術を勧められた場合はセカンドオピニオンもお考え下さい。
ヘルニアになった原因は?
もともとなぜヘルニアになったのでしょうか?
積み木の間に硬いお餅を置いて、積み木をぐりぐり動かしてそのお餅をつぶしてみてください。
ぐりぐりやらないとつぶれません。
そうです、このぐりぐりとした荷重がヘルニアになった腰椎椎間板にかかっていたのです。ですので、この荷重のかけ方によっては、ヘルニアにはならないのです。
このかかり方が「姿勢」です。ちゃんとした姿勢を取っていれば大丈夫だったのに、不正な荷重となる姿勢をしていたために、ヘルニアになったのです。
妊娠・産後は姿勢が急に変化するので、さまざまな障害につながるリスクがあります。
自分の姿勢がどうなっているのか、不安な方は一度専門家に猫背等の姿勢チェックをしたほうがいいでしょう。
姿勢チェックのポイント
姿勢をちゃんと調べるには、注意があります。
- 4方向からの立位写真によるチェック
- 触診によるチェック
- 自動運動による可動チェック
- 他動運動による可動チェック
以上の条件が揃ってはじめて姿勢がちゃんとチェックできます。立位で横から取った写真だけでは姿勢をちゃんと分析することはできません。もちろんなぜその姿勢を取っているのか、その姿勢の原因はわかりません。
人は動く生き物ですから、身体を動かして姿勢をチェックすることが必要なのです。
もし姿勢をちゃんとチェックしたいとお考えであれば、一度ちゃんとした医療機関でチェックされることをお勧めします。