産後の骨盤痛
骨盤の痛み
妊娠中から産後にかけて骨盤周りは大きく変化します。赤ちゃんを骨盤という受け皿で育てるのに、どんどん大きくなる胎児をしっかりと受け止めるため、骨盤を緩めて大きくするホルモンが分泌されます。
そのせいで骨盤の各所に痛みが発生やすくなります。各所とは以下の通りです。
- 仙腸関節痛
- 仙骨痛
- 尾骨痛
- 股関節痛
- 恥骨痛
- 鼠径部痛
- 骨盤底痛
仙腸関節痛、尾骨痛、股関節痛はそれぞれ専門ページがありますので、そちらを参照してください。
仙骨痛
これは後ろから骨盤を見た絵です。仙骨とは真ん中の穴が開いている、逆三角形の骨です。この上に脊中が乗っかっています。
この仙骨は前後に動きます。ニューテーション(うなづき)・カウンターニューテーション(おきあがり)と言います。
この動きに支障が出たり、固まったりすると痛みになります。
恥骨痛
これは骨盤を前から見た図です。下の真ん中辺りに「恥骨結合」という場所があります。ここは左右の恥骨が線維軟骨で結合しています。
出産ではこの恥骨結合が開くことがあります。「恥骨結合離開」といいます。ここが開くと立位、歩行、片脚荷重などでこの場所に痛みが生じます。
また、離開だけではなく上下のズレ(剪断)も起こります。このズレがあるまま、骨盤ベルトを締めると歪みが固まったままになりますので、注意が必要です。
鼠径部痛
上の図は骨盤を前から見ています。赤い〇のところが「鼠径部(そけいぶ)」と言います。動脈や静脈、神経や筋肉が通る場所です。
グロインペイン(groin:鼠径部)症候群という病名があります。一口に鼠径部痛いとはいえ、細かい場所に分かれていて、それぞれの治療法が異なります。しかし、産後は骨盤が変化していますので、その変化を戻せばこのような障害はたいてい良くなります。
骨盤底痛
上は骨盤底筋の絵です。赤い筋肉のある場所が骨盤底と呼ばれます。ここに痛みがあると、性交時に激痛が走ったり、せき、くしゃみなどでも痛みが起こることがあります。
自然分娩の場合、この骨盤底を赤ちゃんはくぐりぬけて生まれてきます。その時に骨盤底が傷ついて、治らなければ痛みが起こります。また、骨盤底筋にトリガーポイント(筋肉内にできるしこりのようなもの)ができても痛みが起こります。
産後のケアで決まる!
以上の障害は妊娠をしなければ、もともとはなかったものです。
つまり、ケアすればまたもとの状態へと戻れるということを表します。
骨盤をベルトで巻くのも、ケアの一つであると言えます。しかし、やみくもに巻いたところで、骨盤がねじれて固まる可能性があるのです。
「骨盤を締める」「骨盤を閉じる」ということがしきりに言われています。
これも締め方や閉じ方が大切です。
イキイキした産後ライフをお過ごしいただくために、ちゃんとした専門知識を持つ専門家にご相談ください。