産後の矯正で一般的に行われている検査を以下に挙げます。これらは大まかな傾向をつかむだけの検査になりますので、これだけでははっきりとした施術・ケアの計画が立ちません。 これらの検査だけで施術を始めることは、道路地図・ナビなしで知らない土地へ車を走らせるようなものです。
カメラで姿勢の写真を撮って、ポスチャー分析をします。全体的な姿勢の傾向が分かります。ただし、この写真で細かい角度やどこの骨がどうなっているのかは分かりません。
ベッドに寝て両足のかかとを比べて、どちらの脚が長いとか短いとかを見ます。これは骨盤がどの方向に歪んでいるのかを見ます。また脚の長さから頸椎が骨盤に与える影響も見たりします。ただし、この検査は産後に限らず行われているものです。ベッドを利用したこの検査では産後の変化は十分に分かりません。
産後は筋肉が硬くなる場所があります。柔軟性や関節の可動域(ROM)を見て硬くなっている場所を判断します。全体的な前屈や後屈だけでは、大まかに硬い/柔らかいは分かりますが、どこに問題があるかは明確に分かりません。
一般的な傾向を見る検査だけではなく、産後の変化を的確にとらえる検査を行って、原因を特定し、効率のよい施術につなげる検査を当院は行っています。
これは他にはない圧倒的な内容です。
私たちは「正しく動く」ことができて健全な身体と言えます。レントゲンやCT、MRIや姿勢写真などは全く動いていません。静止している状態から運動器の分析をしても、中途半端になるだけです。
当院では動いていただき、その動きを分析して真の原因がどこにあるのか突き止める際の手がかりにします。この動作分析は欠かせない検査の一つです。
産後のママさんの変化の一つでほとんど知られていないものが「呼吸の変化」です。運動器の治療家は「呼吸」をおそろかにする傾向にあります。
しかし、呼吸も筋肉を使って行います。筋肉の使い方がおかしくなれば、身体は必ず悲鳴を上げます。違和感、しびれ、痛みとなってサインを出しますので、正しく呼吸へ戻すことがとても大切になります。
産後は姿勢が変化して、身体の各関節に影響を及ぼします。大きいところでは、仙腸関節、股関節、膝関節、肩甲帯など、小さいものでは脊椎の各ファセットです。
どの関節に機能異常が存在するかを明確にして、施術の対象を決定します。痛みなどの症状がある場所だけが原因とは言えません。
筋肉にはアウター筋とインナー筋があります。産後ではどちらも弱りますが、弱っていながら、その中でもアンバランスが生じます。
インナー筋が弱るのは当たりまえですが、どのインナー筋が弱るのかを明確にし、適切なエクササイズでバランスを取り戻します。
出産ではダメージを受ける骨盤底筋群という筋肉のグループがあります。これが弱ると、臓器下垂、臓器脱、尿もれなどが生じます。もちろん、腹圧調整機能が低下して、腰痛などの運動器にも影響を及ぼします。
ですので、骨盤底筋をちゃんとケアすることが必要なのですが、現在のところ骨盤底筋に関する研究がまだまだ発展途上なので、知識を持ったセラピストがほとんどいないのが現状です。
当院ではこのような現状でもみなさまにしっかりとケアをご提供するために、常に海外の文献や論文に目を通すようにして、最新で最善のケアをご提供できるように努めています。
産後はお腹の筋肉、腹筋群が弱ります。これは当たり前です。ですから鍛えましょうとなるのですが、注意が必要です。
まず、どのように弱っているのかを調べないといけません。なぜ弱化の程度を調べるかといいますと、これから行う腹筋群の強化のエクササイズレベルの設定をするからです。
また、腹直筋離開の検査もします。この離開に腹筋群がどの程度影響するかで、さらにエクササイズが変わります。
産後のトラブルは腰痛や骨盤痛のような運動器に関するトラブルだけではありません。
「悪露が止まらない」「産後から不眠で寝られない」「両脚がパンパンにむくんでいる」「めまい、頭痛、疲れで辛い」「うつのような症状が取れない」「便秘が続く」
このように、運動器などはごくごく一部の症状で、産後ママさんはさまざまな辛い症状に悩まされるリスクを抱えて出産するのです。
このような症状に「骨盤矯正」だけでは歯が立ちません。お腹のEMSを当てても変わりません。
「気血水」
東洋医学の考え方で、このバランスの崩れから五臓六腑へと影響が出て、産後のお体にさまざまな辛い症状が起こるのです。
これを鍼灸や食養生などで対応します。